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羅生門

解説

渡辺綱は平安時代に実在した武人であるが、いわゆる頼光四天王の一人としてむしろ伝説上の活躍がよく知られる。綱が鬼の腕を切り落とすという武勇譚は、早く屋代本『平家物語』剣巻などに見えるが、謡曲『羅生門』によって広く流布した。但し前者では舞台が一条戻り橋となっているのが、後者では羅生門に変更されている。幕末には長唄『羅生門』も作られた。更に、鬼が斬られた腕を取り返しに来るという後日譚があり、河竹黙阿弥作の歌舞伎舞踊『茨木』はその代表的なものである(→『茨木』)。
「羅生門」はかつて存在した京都へ通ずる門の名前である。中世に既に焼失していたのであるが、その門の周辺は、ならず者や罪人、果ては鬼までもが住む物騒な場所であったという伝説は現代にまで伝わっている。1915年に、芥川龍之介(1892-1927)が書いた短編小説「羅生門」は、中世の説話集『今昔物語集』を基にしたものである。一方、1950年に黒澤明監督によって映画化された同名の作品は、舞台は羅生門になっているが芥川の小説『藪の中』を脚色したものである(この映画においては、物語は大きな門の下に腰掛けた人物によって語られるが、実際は戦火にも損なわれず往時の面影を伝える知恩院の三門で撮影された)。黒澤の映画は、実際に何が起こったかを目撃者たちの食い違う証言から知ることの難しさ、というよりむしろそれが不可能であるということをテーマにしている。
琵琶曲『羅生門』はまた別の琵琶曲『茨木』とテーマが共通している。『羅生門』において渡辺綱は羅生門で鬼の腕を切り落とすのだが、『茨木』では七日後にその鬼が渡辺から腕を取り返すという話になっている。

参考文献

横道萬里雄・表章校注『謡曲集 下』(日本古典文学大系) 岩波書店 1963
板垣俊一校訂『前太平記』(叢書江戸文庫) 国書刊行会 1988~1989
麻原美子ほか編『屋代本高野本対照 平家物語』 新典社 1990~1993
浅川玉兎『続長唄名曲要説』 2001(改訂初版)
志村有弘『羅城門の怪』(角川選書) 角川書店 2004

あらすじ

源頼光は大江山の鬼神を平らげた後も、腹心の保昌、貞光、季武、綱、公時等の勇士を身近においていた。今宵も、春雨が続くつれづれに、皆に酒を勧めながら、たわむれに何か珍しい話はないかと尋ねた。すると保昌が、近頃、羅生門に鬼神が住んでいるとの噂があるという。綱は聞きとがめて、そのようなことのあるはずがないと保昌をたしなめた。互いに言い合っていたが、結局、綱は人々の引きとめるのもきかず、頼光から証拠の札を受け取って、羅生門へと確かめに出かけた。その夜の明け方、綱はただ一騎で羅生門へ来たが何事もなく、札を石壇に置いて帰ろうとすると、鬼神が兜のしころをつかんで引き留めた。いよいよ出たかと、綱は太刀を抜いて鬼神と渡り合い、鬼神の片腕を打ち落とした。恐れた鬼神は、いずれ取り戻さんと言いながら、炎となって空へと逃げかえった。これにより、綱の勇名は世間に轟いたのである。

『瀧口内舎人 渡辺綱』より「一條戻り橋の辺にて髭切丸の太刀を以茨木童子の腕を斬」(歌川国芳 画)

  • 詞章
  • 現代語訳
  1. 花見 ぐるま いだ ぎぬ
  2. 霞も匂ふ紫や
  3. 薄紅 うすくれない の花 ぐも
  4. やがて催す春 さめ
  5. 都大路をしめやかに
  6. 降りしづめたる 夕哉 ゆうべかな
  7. さて みなもと 頼光 らいこう
  8. あっぱれ 朝家 ちょうけ の守護として
  9. 世に聞えつる良将の
  10. 立てし いさを も大江山
  11. 千丈 せんじょう だけ の賊共を
  12. 討ち滅ぼしゝ 以来 このかた
  13. 国安らかに つるぎ 太刀
  14. 用も無き身の春 中旬 なかば
  15. 貞光季武 さだみつすえたけ 金時 キントキ
  16. イズ れも おと らぬ郎党を
  17. 近く はべ らせ庭の
  18. 今を盛りの 桜花 サクラバナ
  19. 打眺めつゝ酒 むも
  20. いと楽しげに見えにけり
  21. さしもに永き春の日も
  22. いつしか西に 入相 イリアイ
  23. 鐘の響に大空の
  24. 霞の袖は ほころ びて
  25. 数よむ程の雨の糸
  26. み池の おも あや を織り
  27. みぎわ の桜ほろほろと
  28. 浮寝催す 鴛鴦 おしどり
  29. 夢の なか にぞ散りかゝる
  30. 長楽 ちょうらく 鐘声 しょうせい 花外 かがい ニ尽キ
  31. りう りう しょく 雨中ニ深シ
  32. 頼光 らいこう 声も朗らかに
  33. ふし面白く吟じけり
  34. コノ トキ 保昌 やすまさ 申すやう
  35. 近頃不思議の事こそ候へ
  36. 九条の羅生門に鬼 みて
  37. 暮るれば ひと の通らぬ由
  38. 世に もっぱ らの取沙汰と
  39. 語り出づれば一同は
  40. 固唾 カタズ を呑んで詰め寄せたり
  41. 綱は聞くより進み
  42. カイ 波風静かにて
  43. 御稜威 ミイツ 輝く君が代の
  44. しかも都の南門に
  45. 鬼神のすむとは心得ず
  46. こつ に物な ノタマ ひそと
  47. 云へば保昌聞き とが
  48. こは心得ぬ仰せ カナ
  49. さまで不審とおぼしなば
  50. 行きて 覧じ候へと
  51. 言はれて綱は はや
  52. 心の駒の きずな をば
  53. 引返すべき しき なく
  54. それがし おく し参らぬと
  55. おぼされんこそ心外なれ
  56. 是よりタダチに馳せ向ひ
  57. 真偽 まこといつわり 見届けて
  58. しるし ふだ を建て んと
  59. 勇みをなして申しけり
  60. 頼光 らいこう にもとうなづきて
  61. 君の御為武門の為
  62. 確に見届け候へと
  1. しるし ふだ おん 佩刀 はかせ
  2. 御感 ぎょかん アマ びければ
  3. 時の面目承はり
  4. 綱は館を出でゝ行く
  5. 既に ソノ も初夜過ぎて
  6. のき をめぐる玉水の
  7. 音すごすごと更け渡り
  8. 池の かわず の鳴く声に
  9. 降りまさり行く雨の あし
  10. 綱は シバ しも ユウ せず
  11. かちん 直垂 ひたたれ 結びあげ
  12. 家重代の ヨロイ をば
  13. ざっくと肩に投げかけて
  14. 厳物作 いかものづく りの おゝ 太刀 タチ
  15. びたる つるぎ き添へて
  16. 八寸 やき にも余る黒駒に
  17. 下鞍 しずぐら 置かせ取り乗って
  18. 九条表に打って出づ
  19. 黒白 あやめ もわかぬ しん やみ
  20. なまぐさ く吹き落ちて
  21. シノ く雨は おもて をば
  22. いたくも打つや うし みつ
  23. 鐘も乱れて響き来る
  24. あら不思議や 逸物 いちもつ
  25. 駒もおびえて進み得ず
  26. 身慄 みぶるい してぞ立ったりける
  27. さてはと鞍より飛んで
  28. 羅生門の石壇に
  29. しるし ふだ を立て置きて
  30. 帰らんとする うしろ より
  31. 変化魔生 へんげましょう 金剛力 コンゴウリキ
  32. しころ をむづと引っつかむ
  33. 折しも 黒雲 くろくも 巻き起り
  34. ひらめ き渡る稲妻に
  35. 鬼神の姿現はれたり
  36. 綱は少しも驚かず
  37. 太刀 真向 まっこう に振り かざ
  38. 土も木も皆大君オオキミの国なるに
  39. 王地を汚す 化生 けしょう もの
  40. そこ動くなと ヨバ はって
  41. じん になれと切りかゝる
  42. 鬼神は きば み鳴らし
  43. 持ったる てつ じょう 取り延べて
  44. 縦横 ジュウオウ ジン 打振 ウチフル
  45. ひらりひらりと飛び違い
  46. つっと手元に付け入って
  47. 勢ひこんで打つ太刀に
  48. 鬼神は かいな を切り落され
  49. はや黒雲に飛び乗って
  50. 時節を待って取るべしと
  51. 叫ぶ声さへ 物凄 モノスゴ
  52. 愛宕 アタゴ の方へ 一条 ひとすじ
  53. えん となりて光り行く
  54. やがて聞ゆる あかつき
  55. 諸共 もろとも にほのぼのと
  56. 明け行く空に 嵐も
  57. いつしか みて 旭子 あさひこ
  58. 光りさやけき羅生門
  59. 鬼神 おにがみ よりも恐ろしき
  60. 綱は名をこそあげにけれ
  61. 綱は名をこそあげにけれ
  • 1.-6.

    花見帰りの貴人たち
    薄紅や紫の
    衣のごとし花曇
    やがて降り出す春雨に
    都大路もしめやかに

  • 7.-14.

    さて朝廷の守護として
    勇名馳せた頼光も
    大江の山の勲功を
    挙げての後は治まれる
    御世に剣刀用はなし。

  • 15.-20.

    貞光季武綱金時
    武勇すぐれし郎党と
    ともに酒酌む花の宴
    いと楽しげに興ずなり。

  • 21.-29.

    かくも長き春の日も
    いつしか西に傾いて
    夕べの鐘の響くころ
    やがて降り出す春雨の
    池の水面に輪を描き
    夢見心地の鴛鴦の
    羽に桜の散りかかる

  • 30.-40.

    「長楽殿の鐘の音は
    盛りの花に消えてゆき
    龍池の柳雨に濡れ
    緑いよいよ深まれり」
    頼光声も高らかに
    うたう漢歌おもしろく。
    その時保昌語りだす
    「近頃九条の羅生門
    鬼の住まいし日暮れごろ
    人通りなきとの噂あり」

  • 41.-48.

    綱は聞くなり進み出で
    「お恵み深きおん君の
    治めたまえるこの御世に
    都のうちの門内に
    鬼の住むとは合点せぬ
    軽々ものを言うなかれ」
    保昌これにいきりたち
    「我の言うこと信ぜぬか」

  • 49.-59.

    「さほどに疑い強ければ
    おのれの目で見て確かめよ。」
    綱の心ははやりたち
    恐れて行かぬわけでなし。
    これより早速駆けつけて
    嘘かまことかわが目にて
    確かめ証拠をうちたてよう」

  • 60.-66.

    頼光これに感じ入り
    「君と武門の誉れかけ
    確かにその目で見届けよ」
    証拠の札と太刀給う。
    綱は栄えある命を受け
    勇んで館を出でてゆく。

  • 67.-80.

    すでに宵闇深まりて
    軒より落ちる雨だれの
    音ものすごく響きおり。
    池の蛙の声に和し
    いよいよ強く降りこめる。
    綱は少しもためらわず
    褐の直垂下に着け
    家伝の武具に身を固め
    下賜の剣を腰に帯び
    見上げるほどの黒馬に
    下鞍置いてうちまたがり
    九条通りに走り出る。

  • 81.-88.

    見分けのつかぬ真の闇
    不気味な風の吹きつけて
    激しく雨が打ちつける。
    丑三つ時の鐘の音も
    乱れ響いて鳴りわたる。
    まこと不思議もあるものか
    名馬もおびえて進みえず
    身震いしたまま立ちすくむ。

  • 89.-97.

    「さては鬼神現るか」
    綱は鞍より飛び降りて
    羅生門の石壇に
    印の札を立て置いて
    帰ろうとするその時に
    人たぶらかす化け物か
    錣をぐいと引っつかむ。
    突如現る黒雲と
    閃く稲妻背に受けて
    鬼神の姿現れる。

  • 98.-103.

    綱は少しも驚かず
    太刀真っ向に振りかざし
    「この地はすべて大君の
    治めたまえる領土なり。
    この地を汚す化け物め
    そこ動くな」と切りかかる。

  • 104.-115.

    鬼神は牙剥き噛み鳴らし
    手に持つ杖を振りあげて
    滅多やたらに打ち振るう。
    綱はひらりと身をかわし
    えいと切り込む大太刀に
    鬼神は腕を打ち落とさる。
    たちまち雲に飛び乗って
    「時期が来たなら
    取り返すぞ」と
    愛宕の山へ一筋の
    光となって消えてゆく。

  • 116.-123.

    やがて聞こえる暁の
    鐘音とともに明けてゆく。
    夜半の嵐もいつか止み
    光さやかな日を受けて
    輝きまさる羅生門
    鬼神よりなお恐ろしい
    綱の勇名世に聞こゆ
    綱の勇名世に聞こゆ

注釈

1. 出し衣…牛車に乗る女官・女房たちが衣の裾を車から出していること。7. 源頼光…平安時代の武将(948-1021)。本来「よりみつ」であるが、一般に「らいこう」と称する。大江山の鬼退治譚で知られる。8. 朝家…朝廷。10. 立てし勲も大江山…「勲も多く」と「大江山」の懸詞。大江山は丹波国にある山で、頼光が鬼を退治した舞台。13. 剣太刀用も無き身の…「用も無き」は「剣や太刀が必要ない」と「(平和な世には)必要とされない武者の身」の両方の意。15. 貞光季武綱金時…碓氷貞光・卜部季武・渡辺綱・坂田金時。いずれも頼光の配下で、総称して「頼光四天王」という。22. いつしか西に入相の…「入相の」は「日が西に入り」と「入相の鐘」との懸詞。「入相の鐘」は日の入り頃に鳴る寺の鐘。24. 霞の袖…霞を衣装に例えた表現。歌語。26. 紋を織り…模様を作り。27. ほろほろと…桜の花が散るさま。28,1. 浮寝…水に浮いたまま寝ること。28,2. 鴛鴦…「浮寝」と縁語。30. 長楽ノ鐘声花外ニ尽キ龍池ノ柳色雨中ニ深シ…『和漢朗詠集』所収。また謡曲『三井寺』所引。「長楽」は漢の高祖が長安に建てた宮殿、「龍池」は唐の玄宗が遊んだ興慶宮にある池。34. 保昌…平井保昌(やすまさ/ほうしょう)。伝説では頼光の配下とされ、前出の「四天王」に対して「独り武者」と称された。36,1. 九条…都の九条通り。36,2. 羅生門…朱雀大路の南端に位置した門。「らじょうもん」「らいせいもん」とも。36,3. 九条の羅生門に鬼栖みて暮るれば人の通らぬ由…謡曲『羅生門』に「九条の羅生門にこそ鬼神の住んで暮るれば人の通らぬとこそ申し候へ」。42. 四海波風静にて…天下が太平である意の慣用句。43. 御稜威…天皇の威光。46. 粗忽に物な宣ひそ…軽率にものを言ってはならない。51. 逸り雄…血気にはやる男。52. 心の駒の絆…馬のようにはやる心を「心の駒」といい、それを抑えることを「心の駒に手綱を許さぬ」という。「絆」も「手綱」に同じ。63. 佩刀…貴人の帯びている刀。64. 御感の余り…(頼光が)感動した余り。65. 時の面目…今この時の名誉と。67. 初夜…夜を三分したうちの第一。宵。68,1. 檐端…軒下、軒のあたり。68,2. 玉水…「玉」は美称。謡曲『羅生門』に「軒の玉水音すごく」とある。69. すごすごと…一般に気力のない様をいうが、謡曲の「音すごく」から類推すると、「すごく」と同じく、ものおそろしい様子の意であろう。72. 猶予せず…ためらわず。73,1. 褐…濃い紺色。73,2. 直垂…武士の常服。軍陣では鎧の下に着用する。78. 八寸にも余る…丈(前足の先から肩まで)が四尺八寸(約144cm)もある。大きな馬をいう慣用句。79.下鞍…馬具。鞍の下に置いて馬の背に当てる。81. 黒白もわかぬ…何も見えない。83. 篠突く…雨の激しいさま。84. 丑三つ…午前二時すぎ頃。86. 逸物の…とりわけすぐれた。93,1. 変化魔生…人をたぶらかす化けもの。93,2. 金剛力…大力。94. 錣…兜の後ろに垂らして首を守る部分。100. 土も木も皆大君の国なるに…謡曲『羅生門』に「土も木もわが大君の国なれば」。「大君」は天皇。101. 王地…天皇の領土。102. 化生もの…化けもの。105. 鉄杖…鉄でできた杖。112. 時節を待って取るべし…時を待って(腕を)取り返してやる。謡曲『羅生門』に「時節を待ちてまた取るべし」。114. 愛宕…都の西方にある山。119. 旭子…朝日。「子」は親しみをこめた接尾語。121. 鬼神よりも恐ろしき綱は名をこそあげにけれ…謡曲『羅生門』に「鬼神よりも恐ろしかりし、綱は名をこそあげにけれ」。

「羅城門遺址」の石碑(京都府)

音楽ノート

本曲は節付けが巧みで、極めて美しく微妙な色合いを帯びている。場面ごとに異なる情景や、相手によって変わる心のうちが語りと弾奏によって細やかに表現されている。綱が鬼神と闘うクライマックスのシーンは2つの長い合いの手で描写される。103行目の後に現れる最初の合いの手は、普通によく用いられる「丁の三」である。これは派手な劇的な効果をもつ合いの手として、非常に多くの演目に使われているもので、本曲では綱が荒々しく刀を振り回す情景をまざまざと浮かび上がらせてくれる。106行目から後にも、同様に荒々しく劇的な効果をもつ別の合いの手である「丁の七」が指示されているが、これには通常「アウン」と呼ばれる短い前弾きがついている。その前弾きは長くはないが、不自然な撥の使い方をしなければならないため、琵琶奏者からは敬遠されている箇所である。

羅城門の復元模型

しかし、104~106行目、すなわち

鬼神は牙を噛み鳴らし/持ったる鉄杖取り延べて/縦横無尽に打ち振ふ
というくだりを聞けば、ここに「丁の七」の不自然な撥の使い方がふさわしいことに納得できるであろう。
「丁の七」はおそらく技術的には最も難しいものであろう。このくだりの二句目にすでに述べたようにほとんど演奏不可能な箇所があり、三句目にも高い音高を出すために左手に大変大きな力を必要とする箇所がある。
こうした問題があるため、この合いの手はほとんど演奏されることがない。山崎旭萃師ですら1979年の有名な録音ではここを省略して、「丁の三」が続く103行目からいきなり107行目へととんでいるのである。しかし、演出上の観点からみるなら、実際には、こうした短縮をしたほうが、「アウン」や「丁の七」といった超絶技巧を用いるよりは、確実に曲の最高潮に達したことが理解される。今日、ほとんどの奏者は舞台が無事に終わるよう、短縮して演奏するほうを選択している。